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ブランドカラーとは? 選択での注意点・決め方

ブランドには、一目みただけでブランドを想起させるブランドカラーがあります。ブランドカラー選択では、いくつかの注意点があります。今回は、ブランドカラー選択での注意点、決め方を紹介します。

もくじ

ブランドの世界観を象徴するブランドカラー

ブランドカラーは、ブランドの世界観をつたえる色です。色にはそれぞれ、固有のイメージがあります。ユーザーは、ブランドカラーから、どんなブランドかを判断します。ブランドとカラーの関係を調べた研究では、消費者の90%近くが購買行動を色で決定することがわかっています。ブランドカラー は、ブランドのイメージを左右する重要なものです。

→コーポレートカラーについてはこちら!
参考記事コーポレートカラーとは?決め方とブランディングでの重要性

【事例】ティファニーのブランドカラー

参照 https://www.instagram.com/p/CNH_z_MlnYB/

ジュエリーブランドのティファニーのブランドカラーは通称「ティファニーブルー」と呼ばれる青色です。2021年4月1日に投稿されたインスタグラムで、この「ティファニーブルー」が「イエロー」に変わる事件が起きました。

投稿には「私たちの新たなブランドカラーを紹介します」のキャプション。世界中から多くのコメントが寄せられました。ティファニーは翌日、投稿はエイプリールフールの冗談でブランドカラーの変更はないことを告知。しかし、この投稿から1ヵ月後、期間限定でいくつかの店舗がイエローに改装されました。

LVMHは、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールを傘下に持つフランスの企業グループです。ティファニーは、2021年1月にLVMHに買収されました。「ティファニーイエロー」の登場は、新しい体制のもとで新しい顧客を開拓するためのマーケティング戦略です。

ティファニーは、1837年創業。ティファニーブルーはブランドを象徴する色ですが、Z世代の若い人達には、「古くさい」「ダサい」と感じられる恐れがあります。「ティファニーイエロー」は、イエローのティファニーダイヤモンドから誕生。「ティファニーイエロー」を使いブランドの雰囲気を一新することで、ブランドの変革を目指しました。

ブランドカラー選択で注意すること

色から感じる印象やイメージをしっかりと意識して、戦略的に色を決定する事が大切です。ブランドカラーを決定する際には、以下の点を考慮するようにしましょう。

色のイメージ・意味は国により変わる

色にはそれぞれ想起させるイメージや意味があります。気をつけなくてはいけないのは、国により色に持つイメージや意味は変わる事です。また、アジア人と西洋人では、色や光の感じ方が違うことが前提条件です。世界展開するブランドでは、色への見え方やイメージの違いを考慮する必要があります。

日本では、太陽を赤で表現しますが、欧米では黄色・オレンジ・金色で表現されることが多いようです。これは、赤道からの距離と瞳の色が関係します。赤道付近の国で太陽は赤みが強く見え、赤道から遠い国では青みが強く見えます。アジア人の瞳は、メラニン色素が多く含まれる黒や茶色で、白人系の人の瞳は、メラニン色素が少ない青色です。メラニン色素が多いほど、瞳が紫外線から受けるダメージが軽減されるといわれます。メラニン色素が少ない白人系の人たちは、太陽の光をアジア人に比べて眩しく感じます。

好まれる色は性別・年代により変わる

年代により好まれる色も変わります。「Z世代イエロー」は、1990年半ば以降に生まれたZ世代の海外セレブが好んで身につけていた色です。性別により好まれる色の傾向も違います。「ミレニアルピンク」は1980〜1995年の間に生まれたミレ二アル世代の中でも特に20代前半の女性が好むいくつかのピンクです。女性が好むピンクも世代により変化。日本での例ですが、パステルピンク系は小学生の女の子に好まれるのに対して、赤紫っぽいピンクは40〜50代の女性が好みます。

色には消費者の心理に影響を与える

色は、消費者の購買行動に影響を与えます。それぞれの色の与える影響をまとめると次のようになります。

赤:衝動買いする顧客を獲得しやすい
ピンク:リピーターを獲得しやすい
オレンジ:食欲増進効果がある
黒:高価格帯の商品でも購入してもらいやすい
緑:納得してもらいやすい
青:予算内の顧客を獲得しやすい

赤は、バーゲンセールで使うと効果的、黒は高級品店に向きそうです。色が消費者の心理に与える影響もふまえて、色を選択することも大切です。

ブランドカラーは戦略的に決定しよう

ブランドカラーの決め方には、次のようなものがあります。

ブランドイメージから決める

色の持つイメージや意味を考慮して、与えたいイメージを持つ色を選択します。まずは、ブランドに持ってもらいたいイメージを言語化。次に、その言葉のイメージに近い色から検討しましょう。

競合と差別化できる色

競合のブランドカラーを分析して、差別化できる色を選択します。どうしても色が一致してしまう場合は、トーンで工夫するようにしましょう。

業種や領域、ネーミングから連想する色

業種により好まれる色は異なります。飲食業では、赤が多く使われる傾向があります。これは、赤に食欲を刺激する効果があるからです。また、色は領域をイメージさせます。海や空は青、自然やエコは緑といった具合です。さらに、ネーミングから連想する色を選択することもできます。例えば、レモンならイエローです。

ターゲット層を意識する

色は年代・性別により好まれる色が変わります。ブランドのターゲット層に好まれる色を選択すれば、好感を持ってもらいやすいでしょう。

まとめ

ブランドカラーは、ブランドの世界観を象徴する大切な存在です。色には、固有のイメージ・意味があり、消費者の購買行動にも影響を与えます。世界展開するブランドでは、人種や国により色の見え方や意味、イメージが変化する事も考慮しなくてはいけません。ブランドカラー選択は、注意点を考慮して戦略的に進めていきましょう。